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販売・流通公開日: 運営・著者: RePrompt編集部

日本の卸売における掛率とは?上代・下代の計算と価格設計

Summary

卸売の掛率は、小売価格を基準に卸価格が占める割合です。日本の税抜小売価格が1万円、掛率が50%なら、税抜卸価格は5,000円です。海外ブランドが卸価格を決める際は、掛率と粗利率を区別し、輸入や国内配送などの費用を誰が負担するかまで含めて採算を見ます。

Key Facts
  • 母国の小売価格と、日本向けに設定する上代を混ぜない
  • 掛率の計算では、上代と下代の税込・税抜をそろえる
  • 代理店が入る取引は、誰から誰への卸価格かを明記する

上代・下代・掛率を、1万円の商品でつなぐ

小売価格の基準を「上代」、小売店が仕入れる卸価格を「下代」と呼びます。上代を参考小売価格として使う取引もあるため、商談資料には「メーカー希望小売価格」などと明記し、どの価格に掛率を掛けるのかが双方へ伝わる形にしてください。

下代=上代×掛率。掛率=下代÷上代×100。例えば5掛けなら50%で、税抜上代1万円の商品を税抜5,000円で小売店へ卸す関係です。「掛け払い」は後払いです。掛率と混同しないでください。

掛率税抜上代税抜下代小売店の販売額と仕入額の差小売店の粗利率
40%(4掛け)10,000円4,000円6,000円60%
50%(5掛け)10,000円5,000円5,000円50%
60%(6掛け)10,000円6,000円4,000円40%

計算例です。小売店が税抜上代どおりに販売し、仕入れに伴う追加の原価がない条件です。表の差額から、さらに店舗の人件費や家賃などを支払います。

税抜上代1万円、税抜下代5,000円、税率10%を仮定すると、税込上代は11,000円です。税抜同士の掛率は50%ですが、税抜下代を税込上代で割ると約45.5%となり、卸価格を下げていないのに掛率が低く見えてしまいます。上代と下代を税抜へそろえて計算し、消費者向けの税込価格は資料の別欄へ載せてください。

例えば商談で「5掛けです。送料は別です。」と提示されても、どの商品のどの上代を基準とするか、ブランドから小売店への直接の卸価格なのか代理店を経由した価格なのか、別途の送料は誰が誰へ支払うのかが資料に示されていなければ、買う側は仕入総額を計算できません。基準価格も伝えてください。

掛率50%でも、ブランドの粗利率は50%とは限らない

卸売上から売上原価を引いた差額が、ブランドの粗利です。粗利率=粗利÷卸売上×100。掛率の分母は小売価格ですが、ブランドの粗利率では分母に卸売上を使うため、卸価格が同じでも原価が違えば粗利率は変わります。

仮定する売上原価税抜卸売上粗利の計算ブランドの粗利率
2,500円5,000円5,000円−2,500円=2,500円2,500円÷5,000円=50%
3,500円5,000円5,000円−3,500円=1,500円1,500円÷5,000円=30%

税抜上代1万円・掛率50%の取引を仮定した比較です。卸価格は同じでも、原価の違いで粗利率には20ポイントの差があります。

前節で示した小売店の粗利率も、上代どおりに販売できることが前提です。仕入れに付随する原価や値下げがあれば粗利率は下がり、さらに店舗の人件費や家賃などを粗利から支払うので、販売額と仕入額の差を最終利益として扱わないでください。

海外ブランドは、日本側の費用を入れて逆算

母国の小売価格を円に換算して半分にした金額で、日本へ届ける費用まで回収できるでしょうか。国際輸送、輸入手続き、国内保管、納品、営業や代理店の費用を誰が負担するかによって手元に残る額が違うため、卸価格の提案前に自社の負担を見積もり、必要な単価を逆算します。

  1. 日本での基準上代を置く — 円建てで提案します。母国の販売価格と日本の上代を混ぜず、同じ基準で卸価格を計算してください。
  2. 自社が負担する費用を見積もる — 商品原価と物流などの費用を分け、卸先や代理店が負担する項目は自社の負担へ二重に加えないようにします。
  3. 必要な卸単価を計算する — 商品と物流などの自社負担額に卸対応費を加え、その費用を引いた後に1点あたり残したい金額も上乗せします。次の例では1,000円です。
  4. 掛率へ換算して取引条件と比べる — 必要な卸単価÷日本の基準上代×100で計算します。数量、返品、納期、支払い条件も添えて提案してください。

商品原価と日本到着までの自社負担費用を1点3,500円、卸対応費を500円と仮定すると、合計は4,000円です。その費用を引いた後に1,000円を残すには、税抜卸単価が5,000円必要で、税抜上代1万円なら掛率50%です。費用は仮定値です。市場相場ではありません。また、会社全体の経費は算入していないので、残す1,000円を最終利益としては扱えません。

代理店が商品を買い取って小売店へ卸す契約なら、ブランドから代理店と代理店から小売店を別々の取引として計算します。営業支援の手数料を代理店へ支払う契約では、その手数料をブランド側の採算へ反映してください。輸入時の税についても、取引や税務条件によって扱いが異なるため、支払額をすべて一律に原価へ足すことは避けます。

相場の掛率を、そのまま自社へ当てはめない

スーパーデリバリーの公式ヘルプは、同サービスの卸価格について上代の4〜6掛けを平均の目安とし、企業や商品ごとに異なると説明しています。全国共通の相場として扱わず、価格検討の参考にとどめ、自社の商品と費用負担を置いた採算計算は別に行います。

返品できる取引と、売れ残りを小売店が負担する買取では、相手が引き受けるリスクが違います。数量、送料、納期、支払い時期が異なる見積もりを掛率だけで優劣づけず、取引量の条件が厳しく自社の在庫負担が増える契約なら、その条件も費用として採算に織り込んでください。単価より利益で比べます。

希望小売価格は参考です。公正取引委員会は、販売価格を指示して守らせる行為を原則として禁止しており、上代を提案したからといって、値下げした小売店への出荷停止などでその価格を強制してよいわけではありません。

商談では掛率と一緒に、円建ての卸価格を提示

「50%で取引したい」とだけ伝えても、相手には価格の基準が分かりません。基準上代と円建ての税抜卸単価に加え、どの会社との取引か、納品や最低発注数量の条件まで同じ資料に載せて提案すると、小売店側も仕入れにかかる金額を検討できます。

  • 日本の基準上代と、税込・税抜の区分をそろえた
  • 掛率と、円建ての税抜卸単価を併記した
  • ブランド・代理店・小売店のどの取引かを示した
  • 輸入、国内配送、保管、手数料の負担者を決めた
  • 数量、納期、支払い、返品の条件を価格と一緒に提示した
  • 為替が動いた場合の価格見直し条件を話し合った

提示条件でブランドが赤字になる、あるいは小売店に十分な販売余地が残らない場合は、そのまま営業を進めるより、原価、上代、費用分担、数量条件のどこを変えれば双方の採算が合うのかを検討し、価格設計をやり直してください。卸で採算が合わなければ、直販も検討します。

Sources

  1. スーパーデリバリー:商品の卸価格
  2. Square:上代・下代と小売用語の説明
  3. 公正取引委員会:独占禁止法に関するQ&A(再販売価格維持行為)

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